Dify vs n8n 徹底比較【2026年版】— AI特化と汎用自動化、どちらを選ぶべきか
DifyとN8nの違いを料金・機能・ユースケース別に徹底比較。AI特化プラットフォームと汎用ワークフロー自動化ツール、それぞれの強みと選び方を解説します。
「AIアプリを作るならDify?業務自動化ならn8n?そもそもこの2つは何が違うの?」 どちらもノーコードで使えるプラットフォームですが、設計思想が根本的に異なります。
本記事では、DifyとN8nの違いをUI・機能・料金・セルフホスティング・ユースケース別に徹底比較し、あなたのプロジェクトにどちらが最適かを明確にします。
結論:目的別の選び方
最初に結論を述べます。
両ツールは競合ではなく、守備範囲が異なるツールです。詳しく見ていきましょう。
概要比較:AI特化 vs 汎用自動化
Difyとは
Difyは、LLMアプリケーション開発に特化したオープンソースプラットフォームです。チャットボット、RAGアプリ、AIエージェント、ワークフローなど、AIを中核としたアプリケーションをノーコードで構築できます。Difyの基本操作を知りたい方はDify入門ガイドを先にご覧ください。
キーワード: LLMアプリ開発、RAG、AIエージェント、プロンプト管理
n8nとは
n8nは、汎用的なワークフロー自動化プラットフォームです。400以上のSaaS・APIとの連携ノードを持ち、ビジュアルエディタでワークフローを構築できます。Zapierの代替として知られています。
キーワード: ワークフロー自動化、SaaS連携、iPaaS、ETL
n8nの具体的な活用パターンはn8n自動化ガイドで詳しく解説しています。
根本的な違い
| 観点 | Dify | n8n |
|---|---|---|
| 設計思想 | AI/LLMアプリ開発プラットフォーム | 汎用ワークフロー自動化ツール |
| メインの用途 | AIアプリの構築・デプロイ | SaaS間の連携と業務自動化 |
| LLM統合 | コア機能(複数モデル対応) | ノードの一つとして対応 |
| ターゲット | AIアプリ開発者 | 業務自動化担当者・エンジニア |
| アウトプット | AIアプリ(Webアプリとして公開可能) | 自動化ワークフロー(バックグラウンド実行) |
UIと操作性の比較
DifyのUI
Difyは、AIアプリ構築に最適化された直感的なUIを提供しています。
主な画面構成:
- スタジオ: アプリの作成・管理画面
- ワークフローエディタ: ノードベースのビジュアルエディタ
- プロンプト設定: LLMへのプロンプトをGUIで管理
- ナレッジベース: RAG用のドキュメント管理
- ツール管理: 外部API・カスタムツールの設定
- ログ・モニタリング: 実行履歴とパフォーマンス監視
特徴的なポイント:
- プロンプトの編集と即時プレビューが可能
- モデルの切り替えがドロップダウンで簡単にできる
- RAGのドキュメントアップロードがドラッグ&ドロップ対応
- 作成したアプリをワンクリックでWeb公開できる
n8nのUI
n8nは、ワークフローの構築に最適化されたキャンバスベースのエディタを提供しています。
主な画面構成:
- ワークフローキャンバス: ノードをドラッグ&ドロップで配置
- ノードパネル: 400以上の連携ノードから選択
- 実行ログ: 各ノードの入出力を確認
- 認証情報管理: OAuth等の認証情報を一元管理
- 変数・式エディタ: ノード間のデータマッピング
特徴的なポイント:
- ノード間をワイヤーで接続する視覚的なフロー構築
- 各ノードの出力を即座にプレビューできるデバッグ機能
- 条件分岐、ループ、エラーハンドリングなど高度なフロー制御
- コードノードでJavaScript/Pythonが書ける
UI比較まとめ
| 観点 | Dify | n8n |
|---|---|---|
| 学習コスト | 低い(AI操作に集中) | 中程度(ノード接続の概念を理解する必要あり) |
| ビジュアル | AIアプリに最適化された洗練されたUI | ワークフロー構築に最適化された実用的なUI |
| カスタマイズ性 | 中程度 | 高い(コードノードで何でも書ける) |
| デバッグ | プロンプトのログが詳細 | 各ノードの入出力が詳細 |
機能比較
LLM/AI関連機能
| 機能 | Dify | n8n |
|---|---|---|
| 複数LLMプロバイダー対応 | ◎(OpenAI, Anthropic, Google, ローカルLLM等) | ○(OpenAI, Anthropic等の主要プロバイダー) |
| RAG(検索拡張生成) | ◎(ビルトイン、チャンク分割・埋め込み自動化) | △(外部ベクトルDB連携が必要) |
| プロンプト管理 | ◎(バージョン管理、A/Bテスト) | △(ノード内で管理) |
| AIエージェント | ◎(ツール使用、自律的タスク実行) | ○(AI Agentノードで対応) |
| モデル切り替え | ◎(ドロップダウンで即時切替) | ○(ノード設定で変更) |
| ファインチューニング | ○(データセット管理機能あり) | × |
| 会話メモリ | ◎(ビルトイン) | △(外部連携が必要) |
ワークフロー・自動化機能
| 機能 | Dify | n8n |
|---|---|---|
| SaaS連携ノード数 | △(限定的、API経由で拡張可能) | ◎(400以上のビルトインノード) |
| トリガー(Webhook) | ○ | ◎(Webhook, Cron, メール, チャットなど多数) |
| 条件分岐 | ○ | ◎(IF, Switch, Mergeなど高度なフロー制御) |
| ループ処理 | △ | ◎(SplitInBatches, ループノード) |
| エラーハンドリング | ○ | ◎(Try/Catch, リトライ, フォールバック) |
| データ変換 | △ | ◎(JSON, CSV, XML, スプレッドシート等) |
| スケジュール実行 | ○ | ◎(Cron式で柔軟に設定可能) |
| 人間の承認フロー | △ | ◎(Wait for Approvalノード) |
デプロイ・公開機能
| 機能 | Dify | n8n |
|---|---|---|
| Webアプリとして公開 | ◎(ワンクリックでチャットUIを公開) | ×(ワークフローはバックエンド処理) |
| API公開 | ◎(自動でAPIエンドポイント生成) | ◎(Webhookでエンドポイント公開) |
| 埋め込み(iframe) | ◎(チャットウィジェットとして埋め込み可能) | × |
| フロントエンド | ◎(チャットUI、テキスト生成UIをビルトイン提供) | ×(フロントエンドは自前で用意) |
料金比較
Difyの料金体系
| プラン | 料金 | 主な制限 |
|---|---|---|
| Sandbox(無料) | $0/月 | 200回/日のメッセージ、5人のチームメンバー |
| Professional | $59/月 | 5,000回/日のメッセージ、無制限のアプリ |
| Team | $159/月 | 10,000回/日のメッセージ、高度な権限管理 |
| Enterprise | 要相談 | カスタム制限、専用サポート |
注意: DifyのCloud料金とは別に、LLMプロバイダー(OpenAI等)のAPI料金が別途発生します。
n8nの料金体系
| プラン | 料金 | 主な制限 |
|---|---|---|
| Community(セルフホスト) | 無料 | 制限なし(自分でサーバー用意) |
| Starter | $20/月 | 2,500実行/月、5ワークフロー |
| Pro | $50/月 | 10,000実行/月、無制限ワークフロー |
| Enterprise | 要相談 | カスタム制限、SSO、専用サポート |
コスト比較のポイント
- セルフホストで無料利用: 両方ともオープンソースなのでセルフホスト可能。n8nの方がCommunity版の制限が少ない
- クラウド利用: n8nの方がエントリー価格が低い($20/月 vs $59/月)
- スケーリング: どちらも利用量に応じた料金。大規模利用ではEnterprise交渉が前提
- 隠れたコスト: DifyはLLM API料金が別途必要。n8nは大量実行時の追加料金に注意
セルフホスティング比較
Difyのセルフホスティング
# Docker Composeで起動
git clone https://github.com/langgenius/dify.git
cd dify/docker
cp .env.example .env
docker compose up -d
必要なリソース:
- CPU: 2コア以上
- メモリ: 4GB以上(RAG利用時は8GB推奨)
- ストレージ: 20GB以上
- Docker + Docker Compose
構成コンポーネント:
- Webフロントエンド(React)
- APIサーバー(Python/Flask)
- ワーカー(Celery)
- PostgreSQL
- Redis
- ベクトルDB(Weaviate / Qdrant / Milvus等)
n8nのセルフホスティング
# Docker Composeで起動
docker volume create n8n_data
docker run -d \
--name n8n \
-p 5678:5678 \
-v n8n_data:/home/node/.n8n \
n8nio/n8n
必要なリソース:
- CPU: 1コア以上
- メモリ: 2GB以上
- ストレージ: 10GB以上
- Docker
構成コンポーネント:
- n8n本体(Node.js)
- SQLite(デフォルト)またはPostgreSQL
セルフホスティング比較
| 観点 | Dify | n8n |
|---|---|---|
| セットアップの容易さ | 中程度(複数コンテナ) | 簡単(シングルコンテナ可) |
| 必要リソース | やや多い(4GB RAM〜) | 少ない(2GB RAM〜) |
| 運用の複雑さ | 中〜高(複数サービスの管理) | 低〜中(シンプルな構成) |
| アップデート | docker compose pullで更新 | docker pullで更新 |
| バックアップ | PostgreSQL + ファイルストレージ | SQLite or PostgreSQL |
ユースケース別おすすめ
ユースケース1: カスタマーサポートチャットボット
おすすめ: Dify
理由:
- FAQドキュメントをアップロードするだけでRAGチャットボットが作れる
- チャットUIがビルトインで、Webサイトへの埋め込みも簡単
- 会話メモリが標準搭載されている
- プロンプトの調整・A/Bテストが容易
Difyでの構築手順:
1. ナレッジベースにFAQドキュメントをアップロード
2. チャットボットアプリを作成
3. ナレッジベースを紐付け
4. プロンプトを調整
5. Webサイトにiframeで埋め込み
ユースケース2: リード情報の自動収集・CRM連携
おすすめ: n8n
理由:
- Webフォーム → Google Sheets → Slack通知 → CRMのような連携が簡単
- 条件分岐でリードのスコアリングが可能
- スケジュール実行でのフォローアップメール送信
n8nでの構築例:
Webhook受信 → データ整形 → Hubspot CRMに登録
→ Slack通知
→ Googleスプレッドシートに記録
ユースケース3: 社内ドキュメント検索AI
おすすめ: Dify
理由:
- RAG機能がビルトインで、ドキュメントのチャンク分割・ベクトル化が自動
- Notion、Webページからのドキュメント取り込みに対応
- 検索結果のソース表示機能がある
ユースケース4: 定期レポートの自動生成・配信
おすすめ: n8n(+ DifyのAPIを連携)
理由:
- n8nでデータ収集(DB、API、スプレッドシート)→ データ整形 → Dify APIでレポート文章生成 → メール送信、という流れが組める
- Cron実行で毎週月曜の朝に自動配信、といった設定が容易
n8nワークフロー例:
Schedule Trigger(毎週月曜9:00)
→ PostgreSQLから売上データ取得
→ データ整形・集計
→ Dify API(HTTPリクエスト)でレポート文章生成
→ HTMLテンプレートに埋め込み
→ Gmailで関係者に送信
→ Slackにも投稿
ユースケース5: コンテンツ生成パイプライン
おすすめ: 両方を組み合わせる
- Dify: 記事の構成案作成、本文生成、校正のAIアプリを構築
- n8n: RSS取得 → トレンド分析 → Dify APIで記事生成 → WordPress投稿 → SNS投稿の自動化
ユースケース別まとめ表
| ユースケース | Dify | n8n | 両方 |
|---|---|---|---|
| チャットボット | ◎ | △ | - |
| RAG・ドキュメント検索 | ◎ | △ | - |
| SaaS間連携 | △ | ◎ | - |
| 定期バッチ処理 | △ | ◎ | - |
| AIエージェント | ◎ | ○ | - |
| レポート自動生成 | ○ | ○ | ◎ |
| コンテンツ生成パイプライン | ○ | ○ | ◎ |
| データETL | × | ◎ | - |
| 通知・アラート | △ | ◎ | - |
DifyとN8nの連携方法
両ツールは連携させることで真価を発揮します。
DifyのAPIをn8nから呼び出す
Difyで作成したAIアプリは、APIエンドポイントとして公開できます。n8nのHTTPリクエストノードから呼び出すことで、ワークフローにAI処理を組み込めます。
// n8nのHTTPリクエストノード設定例
{
"method": "POST",
"url": "https://api.dify.ai/v1/chat-messages",
"headers": {
"Authorization": "Bearer your-dify-api-key",
"Content-Type": "application/json"
},
"body": {
"inputs": {},
"query": "{{$json.message}}",
"response_mode": "blocking",
"user": "n8n-workflow"
}
}
n8nのWebhookをDifyのツールとして登録
DifyのAIエージェントから、n8nで構築した処理をツールとして呼び出すことも可能です。
- n8nでWebhookトリガーのワークフローを作成する
- DifyでカスタムツールとしてWebhookのURLを登録する
- AIエージェントがツールを使って外部システムと連携する
よくある質問
Q: Make(旧Integromat)やZapierとn8nの違いは?
n8nの最大の差別化ポイントはセルフホスティングが可能で、フェアコードライセンスであることです。MakeやZapierはクラウド専用で、データが外部サーバーを経由します。
Q: DifyとLangChainの違いは?
LangChainはPython/TypeScriptのライブラリで、コードを書いてLLMアプリを構築します。Difyはノーコードのプラットフォームです。柔軟性はLangChainが上ですが、開発速度はDifyが圧倒的に速いです。
Q: どちらも日本語対応していますか?
はい、両方とも日本語UIに対応しています。Difyは日本語コミュニティも活発で、ドキュメントの日本語翻訳も進んでいます。
Q: 個人開発者にはどちらがおすすめ?
AIアプリを作りたいならDify、日常業務の自動化をしたいならn8nです。両方セルフホストすれば無料で使えるので、まず両方試してみることをおすすめします。
まとめ
DifyとN8nは「AI特化」と「汎用自動化」という異なる領域をカバーするツールです。競合ではなく補完関係にあり、組み合わせることで強力な自動化基盤を構築できます。
この記事のポイント:
- DifyはLLMアプリ開発に特化。チャットボット・RAG・AIエージェントの構築が得意
- n8nは汎用ワークフロー自動化に特化。400以上のSaaS連携ノードを持つ
- 料金はn8nの方がエントリー価格が低い。どちらもセルフホスト可能
- セルフホスティングのハードルはn8nの方が低い(シングルコンテナで動く)
- 両方を組み合わせることで、AIを活用した高度な業務自動化が実現できる
- DifyのAPIをn8nから呼び出すのが最も実用的な連携パターン
筆者のプロジェクトではDifyでAIチャットを作り、n8nでバックエンドの自動化を組み合わせています。この構成だと、AI部分はDifyのノーコードで素早く改善でき、データ連携はn8nの豊富なノードに任せられるので効率的です。
まずは自分のユースケースに近い方から試してみて、必要に応じてもう一方を追加するのがおすすめです。n8nは公式サイトからクラウド版の無料トライアルを試せます。AIを組み込んだ自動化のレシピはn8n × AI 自動化レシピ集も参考になります。